高額自費治療サービス
自費による治療サービスを行う場合、比較的、医業収益が多額になりますが、その収益計上時点が異なれば当該年度に含められるべき収益額が大きく変わり、それに伴い所得も大きく変わることになります。
歯科であれば、高額なかぶせ物の装着、インプラントの装着などの高額治療に伴う収益計上時期が問題になることがあります。
一般的な収益計上時期
その年分の各種所得の金額の計算上、収入金額とすべき金額は、その年において収入すべき金額とされています(所得税法36条)。
また、治療サービスの法的根拠は、委任契約や請負契約という解釈があるが、請負契約等に該当すると解釈すると、下記のように取り扱われます。
請負による収入金額については、物の引渡しを要する請負契約にあってはその目的物の全部を完成して相手方に引き渡した日、物の引渡しを要しない請負契約にあってはその約した役務の提供を完了した日とされています(所得税法基本通達36-8(4))
。
ただし、一の契約により多量に請け負った同種の案件についてその引渡量に従い代金を収入する旨の特約若しくは慣習がある場合、又は1個の案件についてその完成した部分を引き渡した都度その割合に応じて代金を収入する旨の特約若しくは慣習がある場合には、その引き渡した部分に係る収入金額については、その特約又は慣習により相手方に引き渡した日とされています。
医業収益の計上時期
上記の条文を根拠とした場合、医療収益は基本的に目的物の完成引渡し日、又は役務提供完了日に収益計上することになります。
歯科の自費治療サービスの場合は、下記のとおりとなります。
ケース | 収益計上時期 |
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メタルボンド、高額詰め物 | セット完了日 |
インプラント体と上物 | セット完了日 |
上記の物が部分的に装着される場合 | 装着度合い対応する日ごと |
質疑応答事例-歯列矯正料の収入すべき時期
歯科矯正における基本料等歯列矯正料の収入計上時期については、歯科医師と患者の契約の実態に応じ、次のとおりとなっています。
ケース | 収益計上時期 |
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矯正装置の装着など一定の役務の提供を行った時に 基本料等の全額について請求し、受領することとしている場合 | 役務の提供を了した日 |
期間の経過又は役務の提供の程度等に応じて、 所定の基本料等を請求し受領することとしている場合 | 期間が経過した日 又は その役務の提供を了した日(円) |
上記以外の場合 | 支払日が定められている場合:支払日 支払日が定められていない場合:支払を受けた日 (又は請求の日) ただし、遅くとも矯正治療完了日には収益計上する。 |