医業を経営する上では、医療機器の設備投資も多額に及びますが、設備投資に対応して税額を抑えることができるのであれば、設備投資もしやすくなってきます。
例えば、超音波診断装置、人工腎臓装置、CTスキャナ装置、歯科診療用椅子などの医療機器は、租税特別措置法第42条の6の中小企業者等が機械等を取得した場合の特別償却又は法人税額の特別控除の対象資産に該当するかが検討されます。

中小企業者等が機械等を取得した場合の特別償却又は法人税額の特別控除の概要

1、特別償却

中小企業者等で、青色申告書を提出するものが、平成10年6月1日から平成29年3月31日までの期間(指定期間という。)内に、次に掲げる減価償却資産(特定機械装置等という。)でその製作の後事業の用に供されたことのないものを取得し、又は特定機械装置等を製作して、これを国内の一定の事業の用(指定事業の用、という。)に供した場合には、事業の用に供した日を含む事業年度の当該特定機械装置等の償却限度額は、当該特定機械装置等の普通償却限度額と特別償却限度額(当該特定機械装置等の基準取得価額の30%に相当する金額)との合計額とすることができます(租税特別措置法42条の6①、③)。

2、特別控除

また、特定機械装置等の基準取得価額の合計額の7%に相当する金額(税額控除限度額」)を控除することもできます。ただし、当該税額控除限度額は、特定中小企業者等の当該供用年度の所得に対する調整前法人税額の20%に相当する金額を限度とされています。

特別措置の適用対象年度

適用対象年度は、指定期間内に適用対象資産を取得し、又は製作して事業の用に供した日を含む事業年度です。
解散(合併による解散を除く。)の日を含む事業年度及び清算中の各事業年度を除きます。
上記の規定は、平成29年度改正で適用期限が延長され、平成31年3月31日取得分まで適用されます。

適用対象資産

適用対象となる資産は、次に掲げる資産の種類に応じて下記の規模のものです(租税特別措置法施行令27条の6⑧)、。

①機械及び装置 1台又は1基の取得価額が160万円以上のもの

②工具、器具及び備品(工具、器具及び備品については、事務処理の能率化、製品の品質管理の向上等に資するものとして財務省令で定めるものに限る。) 1台又は1基の取得価額が120万円以上のもの
(1)測定工具及び検査工具(電気又は電子を利用するものを含む。)
(2)電子計算機(計数型の電子計算機のうち、処理語長が十六ビット以上で、かつ、設置時における記憶容量が十六メガバイト以上の主記憶装置を有するものに限るものとし、これと同時に設置する附属の入出力装置、補助記憶装置、通信制御装置、伝送用装置又は電源装置を含む。)
(3)インターネットに接続されたデジタル複合機(専用電子計算機により発信される制御指令信号に基づき、紙面を光学的に読み取り、デジタル信号に変換し、色の濃度補正、縦横独立変倍及び画像記憶を行う機能、外部から入力されたデジタル信号を画像情報に変換する機能並びに記憶した画像情報を保存し、送信し、及び紙面に出力する機能を有するものに限る。)
(4)試験又は測定機器

③ソフトウエア(政令で定めるものに限る。) 取得価額が70万円以上のもの

④車両及び運搬具(貨物の運送の用に供される自動車で輸送の効率化等に資するものとして財務省令で定めるものに限る。) 車両総重量が3.5トン以上のもの

⑤内航海運業の用に供される船舶

特別措置の適用の指定事業

指定事業は、下記のとおりですが、性風俗関連特殊営業に該当するものは除かれます(租税特別措置法施行令27条の6④、租税特別措置法施行規則20条の3⑦)。
また、法人の貸付けの用に供されるものも除かれます。
農業
林業
漁業
水産養殖業
鉱業(注1)
卸売業
道路貨物運送業
倉庫業
港湾運送業
ガス業
小売業
料理店業その他の飲食店業(料亭、バー、キャバレー、ナイトクラブその他これらに類する事業を除く。)
一般旅客自動車運送業
海洋運輸業及び沿海運輸業
内航船舶貸渡業
旅行業
こん包業
郵便業
通信業
損害保険代理業
サービス業(物品賃貸業及び娯楽業(映画業を除く。)を除く。)(注2)
(注)指定事業に該当するかどうかは、おおむね日本標準産業分類(総務省)の分類を基準として判定します(措置法関連通達42の6-5)。
1、鉱業については、日本標準産業分類の「大分類C鉱業,採石業,砂利採取業」に分類する事業が該当します。
2、サービス業については、日本標準産業分類の「大分類G情報通信業」(通信業を除く。)、「小分類693駐車場業」、「大分類L学術研究、専門・技術サービス業」、「中分類75宿泊業」、「中分類78洗濯・理容・美容・浴場業」、「中分類79その他の生活関連サービス業」(旅行業を除く。)、「大分類O教育、学習支援業」、「大分類P医療、福祉」、「中分類87協同組合(他に分類されないもの)」及び「大分類Rサービス業(他に分類されないもの)」に分類する事業が該当します。

特別措置の適用の可否

超音波診断装置、人工腎臓装置、CTスキャナ装置、歯科診療用椅子などの医療機器は、耐用年数省令別表第一の「器具及び備品」のうち「8 医療機器」に該当し、「機械及び装置」には該当しないため(また、列挙された工具、器具及び備品にも該当しないため)、中小企業者等が機械等を取得した場合の特別償却又は法人税額の特別控除の規定の適用はありません。
また、医療・福祉業は、指定事業に該当しますが、品目は限られると思いますのでご注意ください。

個人開業医の先生

個人開業医の先生であっても同様の規定があり、同様の結果となります(租税特別措置法10条の3、租税特別措置法施行令5条の5、租税特別措置法施行規則5条の8)。