1、事業展開のメリット
他の医師を管理者とすることにより、一か所の医療施設のみでなく、複数の医療施設を開設することができます。
個人開業医ではできない、介護施設を開設することもでき、効率よく経営の多角化を図ることもできます。
個人とは別の人格を設けることになり、医業に係る事業資金を生活費とは区分することができ、医業経営の安定化、財務体質の強化を図ることが可能となります。
当然個人運営時より法人運営の方が全体的に信用力がアップします。
それに伴い、事業経営、人材確保、資金調達が有利となります。
2、事業承継、相続対策のメリット
個人開業医の場合とは異なり、事業用財産の所有権は法人にあり、財産の移転を個々に行う必要はありません。
また、病院や診療所の開設などの行政上の認可は法人に属することになるため、医療事業の承継は理事長と管理者の交代という手続のみでスムーズに行うことができます。
ご子息に相続させる場合、医療法人成りした方が相続税を抑えることができます。
3、節税効果のメリット
個人開業医の所得税率等(最高55%以上)と医療法人の法人税率(最高28%以上)との間の税率差の利用による節税が可能となります。
理事、監事などの役員に役員給与を支払うことにより給与所得控除をとることができ、所得税を圧縮することができます。
就任期間、功績に応じて相当の役員退職金を支給することにより多額の節税が可能となります。
個人開業医の場合、生命保険料控除には12万円の金額制限があるが、医療法人の場合は、定期保険などは原則全額損金算入可能となります。
社宅などの福利厚生制度を利用することにより法人に社宅家賃を負担させることができます。
赤字の場合、欠損金の繰越期間は9年までとなっています(個人の繰越期間は、3年のみです)。
自由診療報酬については消費税が課税されますが、通常、法人設立後、2事業年度は消費税は免税となります。
以上のように、ある程度所得があるなら節税面で医療法人が圧倒的に優位となります。
4、源泉所得税のメリット
個人開業医の場合は、社会保険診療報酬から源泉所得税が控除されて入金されますが、医療法人の場合は源泉所得税が控除されず入金されます。
その分、節税対策に資金を使ったり、運転資金に回すことができ、財務状態を安定化させることができます。